働くことのそうだんじょ

 
大阪市内で製造業を営む株式会社イクチは、大阪府地域若者サポートステーション(以下、サポステ)を利用し、有望な若者と出会いました。代表取締役社長の生地孝さんに、サポステのことや会社のことをうかがいました。

採用活動のひとつとしてサポステを利用
高い技術力を持つ一方、採用課題も抱える中小企業

「ここ数年、求人を出してもエントリーが来ず、困っていたんですよね」と話し始める生地さん。ある日、異業種交流会でサポステの存在を耳にしたといいます。生地さんがとくに興味を持ったのが就労体験。自社のことを「3K」と表現するだけあり、「実際に現場を見てもらってから、入社するかしないかを決めてもらうことが大事」と感じていたからです。

「仕事は実際に見て、作業してもらわないとわからないことがたくさんあります。就労体験を通して、お互いわかり合って納得して入社すればミスマッチが減り、若者も私たちも互いにとっていいはず。大企業ならインターンシップなどで受け入れができますが、中小企業はそういった制度づくりや運営に人員を割く余裕がないので、ありがたい制度だと思いました」
株式会社イクチは、大阪市に工場を構える従業員11名の会社です。工場では、古くなった金属部品や、製品の加工工程で出た削りカスなどのスクラップから、銅合金の地金「インゴット」を製造しています。イクチでは、原料をただ溶かすだけでは良いインゴットはできないと、溶解に大吹(おおぶき)と呼ばれる昔ながらの製法を参考に、松丸太を使った製錬法を取り入れ、合金を独自に配合。不純物の少ない良質なインゴットへと見事によみがえらせています。
この高品質なインゴットで、仏像や美術工芸品から鉄道の架線金具など、さまざまな鋳物が作られています。銅の錆びにくい性質は、水道管の部品など国内のあらゆるところでも活躍。台湾高速鉄道の部品といった、海外の最先端技術にも取り入れられています。素材製造の会社なので、製品が一般消費者の目にふれる機会は少ないですが、その技術力は日本屈指を誇り、縁の下の力持ちと言える素晴らしい仕事をしています。
 
隠し事をしても続かない
目の前の穴埋めではなく、長く働いてもらえるかが大事

そんなイクチは、就職の面接で、3Kの職場であることをはっきり伝えています。ハローワークの求人票には年間休日は98日と記載していますが、実際に勤務すると120日ほど休めます。理由は「イクチの休日はスタッフが仕事に自主的に取り組み、ノルマを終わらせて勝ち得たものだからです。はじめから休みが多いと感じさせるのはミスマッチのもと。隠しごとをしても続きませんからね」とのこと。
サポステの就労体験では、これまで3人を受け入れました。最終的に採用となった清水さんはコミュニケーションに苦手意識を持ちながらも「前向きにやろう」とする気持ちが見え、採用したいと思ったそう。「サポステを通じて出会う若者たちは繊細なので、配慮やサポートの仕方など、就労体験前にスタッフと打ち合わせをしたんですよ」
採用活動の成功のカギは、若者・企業、双方の歩み寄り
素直で真面目な若者を前に、会社としてできること

 
とはいえ、世代間ギャップで苦労した面もありました。
「高温の炉などを扱う工場内は危険がともない、ちょっとしたことがケガのもとになるため、注意もつい厳しい口調になりがちです。しかし、キツイ言い方になりすぎると、叱られ慣れていないせいか、若者は萎縮をしてしまいます。また、注意したことも一度では直らずイラッとすることもありますが、そこは気持ちを抑え何度も丁寧に伝え続けることが大事だと、私たちも学びました」
「今は学生時代の先輩後輩の関係が希薄になり、社会人になっていきなり縦社会に放り込まれて、若い人も戸惑っているように感じます。反面、ネットで情報だけを得て変に頭でっかちで、接するのが難しい面も。けれども、サポステに通う若者は本当に素直なんです。むしろ、素直過ぎ、真面目過ぎなくらい。コミュニケーションも苦手ですが、真剣に話せば、ちゃんと伝わるということも、就労体験を通してわかりました」
「今、清水くんは見習いから脱する時期。先輩の指導も『優しく』から『厳しく』に変わって、凹むことも多いと思いますが、彼なら乗り越えられると信じています。弊社にとって『働く』ことは、『人が動いて』、『傍(はた)を楽(らく)』にすること。チームワークを大切に、まわりを助けながら自主的に働いていますが、そんなイクチの精神を受け継いでほしいですね」
原料をただ溶かすだけでは良いインゴットはできないと、日々努力を重ねるイクチ。就労体験もただ受け入れるのではなく、会社からも歩み寄るよう考えて実行したからこそ、清水さんのような期待の新人と出会えたのかもしれません。
 
就労体験を通して、清水さんだけでなく、会社も変わったと言えそうです。それこそが、採用活動成功の秘訣のように感じました。イクチの体験をヒントに、サポステを利用し、キラリと光る若者と出会いませんか?

01
「来てくれてありがとう。」
そんな気持ちで待ってます。
大阪府地域若者サポートステーションスタッフ
カウンセラー 森本
就労体験コーディネーター 上田
02
求人票ではわからないリアルが
就労体験では見えてくる。
株式会社イクチ
製造スタッフ 清水さん
03
隠し事をしても続かない。
長く働いてもらえるかが大事。
株式会社イクチ
代表取締役社長 生地 孝さん
お気軽にお問い合わせください。06-4794-9200